インフルエンザ、RSウイルス、ノロウイルスや溶連菌・・・感染症にかかりやすい子ども達が集団で生活する保育園では、様々な感染症対策が求められます。
ニュースでも、新たな感染症に罹患した保育士や園児さんの話を耳にするたび、心が痛く、先生や職員の方への感謝の気持ちで胸がいっぱいになります。
なぜ、緊急事態においても、保育園は休園にできないのでしょうか?
また、感染症をうつさない、うつらないための対策をチェックしていきましょう。
【参考】
保育所における感染症対策ガイドライン (2018 年改訂版)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf
もくじ
保育園は緊急事態でも休めない
・児童福祉施設として社会機能の維持に重要な役割を担うとともに、
・乳幼児の集団生活施設として子どもたちの健康と安全の維持を図るという重要な役割を 担う
ことが、ガイドラインで求められています。今まで発生していない新しい感染症が流行し、国内で社会的混乱が起こった場合でも、保育所は上記の役割のもと、子ども達の感染を最小限にとどめるためにどうすべきかを考え、実行しなければなりません。
あなたの保育園ではできていますか?
【チェックリスト】
□登園前・登園後の検温、体調チェック
□子ども達に流行している感染症について話をする
□~1時間ごとの換気をしている
□職員・園児全員がマスクをしている(マスクができない乳児を除く)
□素手やティッシュでくしゃみや咳を受け際は、手を洗う
□給食を向かい合って食べていない
□職員の食事は園児と別の時間にしている
□手洗い・うがいが徹底できている
□液体せっけんを使っている
□おもちゃ・遊具・保育室を清掃・消毒する
□予防接種・罹患歴記録の確認する(園児・職員・実習学生)
青字はガイドラインに順ずるもの
黒字は感染症対策として、対策している園があるものです。
毎日の健康をチェックしましょう
集団生活をする上で大切なのは、個々の健康管理。
園児だけでなく、職員も同様です。
子どもは、自身の体調の変化を伝えることが難しいこともあります。
体温、顔色、鼻水や咳などの症状、食事の量、トイレの回数や便の状態。保育士と保護者が日々の子どもの様子を共有しておくことが大切です。健康チェックシートなどをつくり、少しの子どもの変化にも気づけるよう注意しましょう。
子ども達に何が起こっているか話をしましょう
大人は、自分達が理解していればと、世の中の状況について子どもにしっかりと話をしないことが良くあります。
大人の不安は、こどもにより不安を感じさせ、心を不安定にさせます。
いま、どんな感染症が流行しているのか、その感染症に罹るとどうなるのか、罹患しないためにはどうすればいいのか、家族やお友達が罹ってしまったときにどうすればいいのか。
感染のしくみや、相手への思いやりを考える時間をつくりましょう。
◎藤田保健医科大学ホームページ「コロナウイルスってなんだろう?」http://www.fujita-hu.ac.jp/~microb/Final_version_ruby.pdf
飛まつ感染をさせない
咳やくしゃみ、会話によって口から出る小さな飛まつを吸い込むことで感染します。飛まつの飛び散る距離は2mとされていますが、保育園でその距離を保つのはほぼ不可能。
全員がマスクをすることで、飛まつ感染に効果があります。
新しい感染症が流行している際は、幼児さんに飛まつの感染についてしっかりと説明をし、できる限り距離を置く意識をさせましょう。
◎文部科学省:マスクのつくり方https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_00460.html
ひとつの部屋で集団で生活している保育園。室内等の密閉された空間では、空気感染が起こります。定期的に空気を入れ替えましょう。厚生労働省:換気についてhttps://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000618969.pdf
給食を向かい合って食べると、飛まつ感染の可能性が高まります。感染症流行の際は、グループを分けて食事時間を変えるなど、向かい合って食べないようにする工夫をしましょう。菌が入ったり付いた食べ物や食器で経口感染を防ぐためにも大切です。
素手ではほとんどないと思いますが、子どもの鼻水をティッシュでぬぐった後は、手を洗うようにしましょう。同じティッシュで数人の鼻をかむのは言語道断です。
使ったティッシュをエプロンのポケットにしまうのもやめましょう。どうしても捨てにいけないときの為にごみ用のビニルをポケットに入れておき、手が洗えないときは、自分や子どもの顔や目を絶対に触らないようにしましょう。
食事前の手洗いについては徹底している園も多いですが、排泄後、外遊びの後も必ず30秒以上の手洗いをしましょう。乳児の手洗いをさせていない園もよく見ます。1歳でも教えれば手を洗います。大変だと思いますが、必ず手洗いさせましょう。
◎厚生労働省手洗いポスターhttps://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000593494.pdf
園内の衛生環境を整えましょう
乳児のおもちゃはもちろん、幼児のおもちゃや共有する教材、遊具も消毒しましょう。
保育室はいつも以上に清掃を徹底し、机や椅子、てすり、ドアノブはしっかり消毒しましょう。
◎厚生労働省:消毒液の作り方https://www.mhlw.go.jp/content/000617981.pdf
◎保育施設などにおける清掃・消毒・衛生管理http://www.pref.yamagata.jp/ou/sogoshicho/okitama/325026/syoudokuhouhou-youho.pdf
□予防接種・罹患歴記録の確認する(園児・職員・実習学生)
新しい感染症だけではなく、同じように従来の感染症に対しても対策が必要です。
入園時には園児の予防接種履歴、罹患歴だけでなく、入職時の職員の履歴も管理し、必要なら予防接種を促しましょう。
年代によっては、予防接種を受けていなかったり、1回だけで抗体ができていなかったリアします。女性の多い職場ということもあり、妊婦が罹患すると胎児に影響のある感染症もありますので、きちんと確認しておきましょう。
◎日本小児科学会予防接種スケジュールhttps://www.jpeds.or.jp/uploads/files/vaccine_schedule.pdf
排泄物での感染は保育園でよくあります。
当番制でオムツ替え担当の保育士をつくり、集団感染のリスクを下げるようにしましょう。
オムツ替えの時には、エプロンを替え、手袋をつける園も。保護者に個別に汚物を持ち帰らせないこともリスクを下げます。
特別な便の場合は、そのままとっておかれても保護者も正直困ります。
白い便や緑色の便が出た際は、写真をとって残しておくなどし、医療機関で見せることができるようプリントアウトしておくと親切ですね。
他にも、感染症によっては、血液を介するも、蚊によって感染するものもあります。
情報を冷静に判断し、対策をするようにしましょう。
それぞれの園での感染症対策
いろんな園を訪れてみると、感染症対策はやりすぎくらいでちょうど良いのかも。
通勤服を徹底する園は多いと思いますが、
・殺菌作用のある空気清浄機
・機械を使っての手洗い後のウイルスチェック
・食事前のアルコール消毒
・ペーパータオルの使用
・個々でハンカチをもつ
・給食時用のエプロン
あなたの保育園は、どんな感染症対策をしていますか?
自分が感染している前提で接する
感染症が流行しているときは、症状がなくても「自分も感染しているかもしれない」ということ前提で、手洗い・うがい・接し方に気をつけましょう。
目の前の子ども達には笑顔で冷静に、心は細かな注意をはらいながら、保育を行っていきましょう。
2929.4.16