話を進めたいのに、ざわざわしていたり、集まってほしくても遊んでしまって時間がかかってしまう・・・そんなことありませんか?
そんなこんなしている間に、せっかく集まっていた子達もいざこざがあり、トラブルに発展してしまう。そしてまた時間がたってしまい、焦って「静かにしなさい!」「集まりなさい!」と怒ってしまい・・・「こんなはずじゃなかったのに」と悩んでしまっていませんか?
私の働いていた保育園では、並ぶことや笛で指示を出すことがタブーでした。そんな保育園の2歳児の子ども達でも自然に集まることができるようになった保育テクニックをご紹介します♪
もくじ
なぜ注目しないのか?
注目してくれない理由には、保育士との信頼関係、環境、年齢、個性など、様々な要因があります。子ども達にとって、保育士の話を聞くという経験がしっかりと築かれていないだけ。
これから、ひとつずつ積み重ね、築いていけば必ず保育士のそばに集まり、話を聞いてくれます。
新しいクラス・新しい担任
この場合、子ども達との信頼関係が、まだ築かれていないのが原因のひとつです。
まずは4月、新しいクラスに変わり、新しい担任になったときは子ども達も緊張しています。
「この先生はどんな先生なんだろう?」「あれをしたら怒るかな?」「これをしたら何ていうかな?」
子ども達は、保育士の一挙一動を見て判断しています。
ここで間違うと、5月以降のクラスで、子ども達は先生の言うことを聞かなくなってしまい、「A先生のクラス、だいじょうぶ?」ということになってしまいます。
よくあるのが、「優しい先生のクラスは子ども達が話を聞かない」ということ。
「じゃあ、怒ればいいの?」
と思ってしまいますが、厳しい先生になればよいと言うわけではありません。
「優しい先生=なんでも許しちゃう先生」になってしまっていませんか?
逆に、「厳しい先生=なんでも怒る先生」になっていませんか?
大切なことは、良くないことはしっかりと「良くないこと」と一貫性をもって、平等に伝えているかということです。
子ども達に「信頼されている先生」になれているのか、一度思い返してみてください。
環境
あなたのクラスは、子ども達が集まったり話を聞く上で、落ち着いた環境にありますか?
部屋の中がぐちゃぐちゃしていたり、みんなが立ったりしていても、話を進めてしまう、
これでは、子どもなの気持ちが落ち着きません。
子ども達が目に付く場所をすっきりさせて、保育士やお話に集中できるうよう環境を設定しましょう。
年齢
1歳から「ここに来てください」と言えば集まれる子もいれば、4歳になってもほかの事に集中してしまい、集まれなかったり、集まっても長く座っていられない子がいます。
それまでの個々の経験や個性によって、できるできないは様々ですよね。
そのことを念頭に入れ、活動の切り替えの際には、それぞれの年齢や個性にあった対応を心がけましょう。
また、年長児に対しては、小学校への準備として「先生が集まるよう呼びかける=次の活動(行動)が始まる」という意識を身に着けることができるようにしておきましょう。
集まってほしいときはコレ
声のかけ方
「集まってください」「静かにしてください」の一言でそうなってくれたら苦労はしないですよね。
そこで試してほしいのが、遊んでいる子を注意するのではなく、「集まっている子をほめる」ということ。
子ども達は常に大人に気にしてもらいたい気持ちを持っています。
遊んでいる子を気にしていては、せっかく集まった子ども達も「遊んでる子の方が先生に気にしてもらえる」と遊び始めてしまいます。
「Aちゃんは集まってくれたね!はやい!」と集まっている子を認めると、他の子も気付いて集まってきてくれるはずです。
おしゃべりして話を聞いてくれない子にはわざと小さな声で話してみましょう。「ん?先生何か話してるぞ?」と気になり始め、だんだん静かになってくれますよ。
もし、これでも集まれないときは「集まる」という経験が少ないのかも。
ちょっとしたお楽しみで、みんなに注目してもらいましょう。
手あそび
1~3歳さんには、とても効果的。楽しい手あそびは注目すること間違いなしです。
活動の始まりは、クラスのみんなが大好きなてあそびではじめてみましょう。
活動に関する手あそびなら、なお良しです!
ポケットに
保育士のポケットは魔法のポケット。何か楽しいものがかくれています。
例えば、指人形。先生の相棒となるような指人形を入れておき、活動が始まる前には腹話術のように指人形で話をすると、「なんだ、なんだ?」とみんなが注目してくれます。
ルールなど、大切な話をするときにも、印象に残りやすいので使えますよ。
かばんに
かばんの中にホワイトボードやスケッチブックを入れておき、絵描き歌を見せたり、簡単なペープサートをして気を引かせることも効果的です。
幼児さんには、その話の中に、「人の話を聞く姿勢の大切さ」も伝えておきたいですね。
なぞなぞ・クイズ
待つ時間が長いときなどでこどもがダレてしまっているときは、なぞなぞやクイズもひきつけることができます。簡単なもので良いのです。みんなが揃って答えることができるものの方がオススメです!
先生が前に立つと何かが始まる
集まることが苦手なクラスでは、まず「先生が前に立つと、何か楽しいことが始まる!」と印象付けることが大切。これは取り組むのが早ければ早いほど、後が楽になります。
4月のスタート、新しい担任になったときから、前に立つ時や帰りの会など、ひとつ子ども達がワクワクできる「おたのしみ」を用意しておくと、「この先生おもしろい!」「大好き!」という気持ちから信頼関係が生まれて、
保育士が前に立つと、自然と話を聞いてくれるようになります。
気になる子への対応
何らかの障がいをもっていたり、そうでなくても気になる子がふらふらとどこかに行ってしまうことを止めに行っている間に、他の子が騒ぎ始めてしまうこともあります。
個々の様子によって臨機応変に対応できるよう、事前に環境を整えたり、準備しておく必要があります。
他に注意が向くような物は見えないようにする。
カラフルなものや、キラキラしたものなど、刺激になるものが話をする保育士の後ろにあったりすると、気になってしまって話が耳に入らなかったり、落ち着きがなくなり、席を離れてしまうことがあります。
カードをつくる
いま何をするのか、これから何をするのか、絵や写真などでカードをつくると理解しやすいでしょう。みんなが集まる前にあらかじめ、「お話をしたら園庭に行きます」など、先が見通せるよう、話をするようにしておきましょう。
短い言葉でゆっくり話をするようにする
保育士がクラス全員に話をしているときに話を聞いていない子は「聞こうとしていない」のではなく、本当に内容が分からない場合があります。
一方的な長い文章でのやりとりでは意味が理解できず、ほかの事をしてしまったり、寝そべったり、誰かにちょっかいをかけてしまい、トラブルの元にもなってしまいます。
冷たい印象にならないよう、声の大きさ、雰囲気に気をつけながら
短い言葉でわかりやすく、に気をつけて話をするようにしましょう。
保育士のそばにの席に座らせる
サポートをしてくれる保育士がいるときはその保育士のそばに。しかし一人で活動をしなければいけないこともあります。気になる子はできるだけ保育士がいつでも気にかけることができる位置にいてもらうようにしましょう。
はじめは離れた場所で見ているだけでも良い
もし、みんなと集まることが苦手な子には無理強いしてはいけません。
何か危ないことをしないのであれば、周りの子どもには理由を話し、離れた場所にいても良いことにしましょう。移動のときに活動の場所まで一緒に行くことができれば花丸です!
事前に個別で話をして、パニックにならないように丁寧に対応しましょう。
まとめ
子ども達に保育士の話を聞いてもらう上で大切なのは、「信頼関係、環境、年齢に合った声かけ」です。
特に、一番大切なのが信頼関係。
命令したり、怒ることで子どもを動かしていては信頼関係は築かれません。
「先生は私の話を聞いてくれる。だから私も聞こう」という気持ちになってもらえるように、
普段の保育の中で、子ども達の言葉に耳を傾けるように努力しましょう。
忙しい中とてもとても大変なことだと思いますし、完全には難しいことだと思います。
でも、これが一番効果的な「信頼関係」の築き方です。
頑張ってみてください。
上記にある保育のテクニックは、私がこれまで受け持ってきたクラスで実際に行ってきたものです。
なぜか、私は、いわゆる「たいへんな学年」を受け持つことが多く、1~2年目の頃は「保育士に向いていない・・・」と思うほど悩んでいました。
しかし、その嵐のような日々のおかげで、その後「たいへんな学年」を受け持っても、何の問題もなく一年を過ごせるようになってきました。
私の働いていた保育園は、並ばせることや笛を使って指示することがタブーでしたので、叱ることなく、大きな声を出すことなく、「集める」「話を聞いてもらう」と言うのは、私の一番の課題でした。
この経験を元にして書いた、この保育テクニックが、みなさんの保育に少しでも役立てば嬉しいです。
「話を聞かない、言うこと聞かない」は、子どもからのメッセージです。
ぜひ向き合って、少しでも解決し、子ども達との毎日を楽しんでくださいね。
2020.5.5