子ども達の大好きなお散歩ですが、保育園の外は危険がいっぱいです。
悲しい事故を二度と起こさないため、子ども達の大切な命を守るためにも、保育士がしなければならないことを再度確認していきましょう。
もくじ
なぜ、お散歩をするの?
まず保育所保育指針より、散歩の意義について確認していきましょう。
自然に親しみ、興味関心を持つ
保育所保育指針 ※3歳以上児のねらい及び内容より
「健康」
ねらい:①明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう。
②自分の身体を十分に動かし、進んで行動しようとする。
内容:③進んで戸外で遊ぶ
「環境」
ねらい:①身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心を持つ。
内容:①自然に触れて生活し、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気付く。
内容:③季節により、自然や人間の生活に変化のあることに気付く。
普段何気なく歩いているだけに感じますが、
子どもは外に出かけたり、遊んだりする中で、温度の変化や自然の色の変化、日差しの強さ・風の冷たさなど、様々な変化を五感で感じます。
園庭だけでなく、散歩で外の世界を見ることによって、町の雰囲気や道の草花の変化にも気付き、変化に興味をもつようになります。
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交通ルールを学ぶ
「健康」
ねらい:③健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付ける。
内容:⑨危険な場所や災害時などの行動の仕方が分かり、安全に気を付けて行動する。
散歩の中で、交通ルールを伝え、様々なことに注意を向けることを伝えます。
その繰り返しが、子どもが大人の言葉で安全に対しての反応ができるようになるだけでなく、子どもが自分で自分自身の身を守るための知識を身に付けることができます。
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身近な生活への気付きを育む
「人間関係」
ねらい:②身近な人と親しみ、関わりを深め、愛情や信頼感を持つ。
③社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。
内容:⑬高齢者を始め地域の人々など自分の生活に関係の深いいろいろな人に親しみを持つ。
「環境」
ねらい:②身近な環境に自分から関わり、発見を楽しんだり、考えたりし、それを生活 に取り入れようとする。
内容 :⑫近隣の生活に興味や関心を持ち、保育所内外の行事などに喜んで参加する。
園の外に出て、電車やバス、交番や消防署、お店屋さんなどのさまざまなものを見ることで、子ども達は社会を知り、役割や物事に興味を持ちます。
身近なことを観察したり真似たりすることが大好きな子ども達に、こういった散歩や遊びを通して、人と人が支えあい、関わることの大切さに気付いてほしいですね。
そして、自分もその中で役立ちたいという気持ちが芽生えるよう、保育士が子どもの気付きに共感していくことが大切です。
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散歩の注意点①前日までの準備
散歩コースの確認
・子ども達が歩く道が危険でないか、前日までに確認しておきましょう。
□交通量
□信号機・横断歩道などの道路設備
□道幅
□見渡し
□工事の予定
□不審者の危険
・初めてのコースはもちろん、前回の散歩と時間があいていた際は、再度下見を行うようにしましょう。
散歩マップの情報共有
・園の周りの危険な場所など記録をつけ、内容は全職員が共有できるようにしましょう。
・園の周辺や目的の公園などの周辺、コース付近にある交番やAEDの設置場所は、もしものときのために必ず記載しておきましょう。
・園の周辺の病院なども合わせて記載。さらに、保育所周辺の安全に関する情報を保護者や地域の方と共有できると良いかと思います。
散歩の計画を作成する
・散歩に関しても、前日までに活動計画を作成・提出しましょう。
・散歩の目的地、ねらい、行程(時刻・経路・所要時間など)、子どもの人数、引率者などを記載しておきましょう。
「あのクラスどこ行ったの??」ということもなくなりますし、災害など緊急の際にも重要な情報となります。
・計画を元に、引率の保育士は園児の年齢や人数に合わせた職員配置、園児と職員の位置関係など役割分担を確認しましょう。
・提出された責任者は、危険箇所のマップとも照らし合わせ、再度危険や不備がないかの確認をしましょう。
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散歩の注意点②出発前にすること
天気や持ち物などの確認
□その日の天候
□必要に応じた持ち物の準備が整っているか
□持ち物(携帯電話・防犯ブザー)が適切に作動するか
□職員間の役割分担、危険な箇所を再度確認
□ベビーカー(バギー)のブレーキやタイヤの点検、乗車人数やなどの適切な使用方法
子どもの確認
□当日の子どもの体調や機嫌など
□散歩の参加人数
□配慮が必要な子どもがいるかどうか
□迷子に備えて、子どもの服装(色・模様)の確認。覚えるのが難しければ、カメラで撮影しておく。
□危険がないか、気候や体調に合っているかの子どもの服装を確認し、調節しておく。
園残る職員への散歩の詳細を確認する
「ひよこ組14名、担任のA,B,Cと〇△公園に行ってきます。
園には11時に戻ります」などの内容を、園長、責任者、園に残る職員に確認してから出発しましょう。
散歩ボードなどを用意しておくと、どのクラスが何時に戻ってくるかが誰でも確認できるので便利です。
子どもへの安全確認
歩き出す前に、行き先、交通ルールやマナーについて話をしましょう。
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見つけておぼえる!さがし絵タウン 道路標識 [ 永井もりいち ]
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散歩の注意点③散歩中
道路での交通安全マナー・職員の安全対策
□車道の歩行は避ける
□歩道の白癬の内側を歩く
□ガードレールの内側を歩く
□職員が子どもの列の前後につく(人数に応じて列の中央部)
□子どもより車道側を歩く
一旦停止して必ず安全確認する場所
□交差点
□歩道の切れ目
□駐車場や車庫などの車の出入り口
□曲がり角
□一時停止場所
【特に注意!】信号や踏切の横断する時の注意点
□待機中は車道から離れた位置で
□ガードレールがあるかないか、位置などを確認
□横断時には、職員の位置や子どもの列の組み方・時間など特に注意を払う
□列が分かれるような無理な横断はしない
□待機中、ベビーカーなどのブレーキがかかっているか
その他注意するもの
□物や人の横を通る時に、子どもがぶつからないか
□物や人の横を通る時に、ベビーカーなどに乗っている子どもの頭・腕・指がはさまったり、ぶつかったりしないか
□自動車や自転車とすれ違う際は止まって待つ
□すれ違う人の持ち物(傘・かばん・たばこ等)に子どもが当たりそうになっていないか
□ルートの危険物・障害物の有無
□駐車中の車、動植物、落ちているゴミを子どもが触れないか
□階段では、状況に応じて、子ども同士でつないでいる手をはなす
(段差は子どもがバランスを崩しやすいので、発達などに応じて転ばないように声をかけるなど、サポートする)
目的地ですること
現地の状況確認
□建物や遊具、木や植え込みなどによる死角の有無
□遊具の安全点検
□ガラス片や動物の糞、タバコの吸殻などの危険物・不衛生なものがないかの確認と除去
□他の利用者と譲り合って利用し、スペースを共有する。
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こうつうあんぜんどうするの? (やさしくわかるぼうさい・ぼうはんのえほん) [ せべまさゆき ]
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散歩の注意点④散歩の後
子どもへの安全確認
□到着後の人数確認
□公園など、目的地でのあそびやルールを子どもと確認
(年齢に合わせて、私用してはいけない遊具や、トイレに行きたいときの約束事など、話をしてから遊び始める)
子どもの行動把握
□子どもの健康状態を確認
□暑いときには熱中症を避けるため、水分補給を行う
□道路などへ飛び出さないよう注意する
□遊具の利用の際には子どもの発達に合わせて職員が付き、安全確保に努める
□砂場では砂を目や口に入れないように見守る
□動物に近づかないよう注意する
□不審者がいないか注意を払う
□出発時には人数と健康状態を確認する
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散歩の注意点⑤園に戻ったら
・子どもの人数・健康状態を確認しましょう。
・実際の到着時間を確認。園長などの責任者、保育園に残っていた職員に散歩から帰ったことを報告しましょう。
振り返り
・散歩コースや目的地に危険な箇所などの変更があれば、職員間で共有し、必要があれば散歩マップに記載しましょう。
・個々の子どもについて、保育上配慮することがなかったか共有しましょう。
・散歩中の子どものケガなどの事故やヒヤリ・ハットがあれば、共有・報告・書類があれば記入しましょう。
上記の内容は、厚生労働省の「保育所等における園外活動時の安全管理に関する留意事項」を参考にさせていただきました。
園でまだ不十分な点があれば、職員で再度、散歩について話し合ってみてください。
2020.5.8