もくじ
咀嚼や嚥下がまだうまくできない子どもの誤嚥の事故
食品による窒息での死亡者は毎年4千人以上で、年々増加の傾向にあるそうです。
その割合は半数以上は高齢者ですが、乳幼児の例も多くなっています。
2020年9月7日の幼稚園の男児がブドウを誤嚥して亡くなってしまったニュースに
心を痛めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
窒息事故の多い食品は?
窒息の原因となるのは、餅、ごはんやパンなど
口の中で唾液を吸収すると飲み込みづらくなる食品が多く
吸い込みやすいミニカップゼリーや
球形のあめ類、肉やくだものも窒息の原因となっています。
窒息事故はなぜ起こるの?
子どもの食品での窒息事故の原因は、
咀嚼の機能がまだ発達していないことあげられますが
歯の発育によって、奥歯で食べ物をすりつぶして
のどに詰まらないほど小さくすることができないことや、
食べるときに慌ててしまったり、遊んで食べたり泣いてしまうことでも
起こることがあります。
また、食事を見守っている保護者や、保育職員の
窒息に関しての認識や、応急処置の知識や食事の介助法も
事故に関わる要因ではないかと言われています。
また、食品側の要因としては、
食品の滑らかさ、弾力性、硬さ、紙切りにくさといった、
触感や大きさ、形状などが窒息事故に関連すると考えられています。
「誤嚥・窒息事故防止マニュアル~安全に食べるためには~」(浦安市作成)
誤嚥・窒息につながりやすい食べ物の形状や性質
教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン(2018年3月)
では、保育施設で与える食材や調理の仕方について
過去に起こった窒息事故の食材をふまえて
以下のようにガイドラインにて注意を促しています。
給食での使用を避ける食材
球形の形状をした食材は、そのまま子どもに与えてしまうと
吸い込んだ時に気道をふさぐ危険があります。
豆まきのいり豆も、ナッツ類に含めます。
お餅や白玉団子は、でんぷん質のため、唾液と混ざることで
より粘着性が高まり、気道をふさぐ危険があります。
また、イカは小さく切って調理すると、とても固くなってしまうので
咀嚼しきれずにそのまま飲み込んでしまい、詰まってしまう危険があります。
0・1歳児のメニューには避ける食材
0.1歳児の給食には
固くて噛み切れないことがあるのでエビや貝類は避けましょう。
幼児の給食でクラムチャウダーを出す場合は
乳児クラスにはツナシチューにするなど、献立を工夫してください。
焼きのりは、噛みちぎりにくく
口の中でくっついてしまうことがあるので
刻みのりにするなど工夫して提供しましょう。
調理や切り方を工夫する食材
弾力性があったり、繊維が固い食材は
1㎝ほどに細かく切ったり、繊維に逆らって切ったりすることで
食べやすくする工夫をしましょう。
また、ゆでたまごや煮魚などは、
口の中で咀嚼する間に
唾液を吸収して飲み込みづらくなってしまいます。
細かくしたり、味をしみこませてやわらかくさせたり、
片栗粉をつかってとろみをつけるなどしてとろみをつけるなど
調理の仕方を工夫しましょう。
食べさせるときに特に配慮が必要な食材
ごはんやパンなどは、粘着性が高く
口の中で噛んでいる間に唾液を吸収して飲み込みづらくなってしまいます。
手づかみで食べ始めたころは特に、
口の中に詰め込んでしまうこともあるので注意しましょう。
また、自分で食べられるようになってからも
慌てて口の中にたくさんの量を入れてしまい、
のどに詰まってしまうことがあるので
慌てずよく噛んで食べるように伝え、
食事中も見守るようにしましょう。
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保護者の方にもお願いをする
プチトマトやカップゼリーぶどうなどは配慮が必要な食材であることや、
食品での窒息事故の危険性について、ぜひ家庭でも理解していてほしいですよね。
遠足のお弁当を作っていただくときなどに
配慮してほしいこととしておたよりなどで伝えていけるとよいかと思います。
参考:教育・保育施設における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン
2020.10.29